ギターをオーダーメイドした人の備忘録。

アコギのオーダーメイドをしてしまった人のチラ裏

アディロンダックの個人的雑感。

ネットに出回る何番煎じになるか解らない、与太話をば。

 

アディロンダック仕様のアコギ、現代でもよく見かけます。

トリファイド加工されてたりそのままだったり、どれも良い音で鳴っています。

 

鳴ってる、のですが。

 

オーダーメイドをやる際に、周囲から結構な頻度で言われたのが

「ハカランダ使うならトップは勿論アディロンダックだよね!」

って言うお言葉、色んな人から頂いたわけですよ。

 

しませんよ?

 

そもそもオーダーメイドしたいと思ったのも「ムーンスプルースが気になったから」ってのと

「どうせオーダーするなら今のうちにハカランダで造れるうちに造ってまえ」が根底にあるからなわけで。

その組み合わせの音が気になってたので、アディロン✕ハカランダって選択肢はないのです。

 

そもそも。

 

アディロンダック、木目が異常に広いですよね。

「何言ってるんだ、アディロンは木目広いのが特徴だぞ」って仰る方、よーく解ります。

自分もそう思ってますよ、「現行のアディロンダック」は木目広いです。

 

……でもねぇ、戦前のMartinとかでアディロンダック使ってる40番台のモデルで木目こんなに広いのって逆に「なかなか見ない」んですよ。木目の広くないアディロンダックが多く見られる。

バイアスかかってて「戦前ヴィンテージで木目の広いアディロンダックが多い事実」を見落としているんだとしたら、自分が節穴なだけなのでごめんなさいするしかないですが。

 

アディロンダック自体、戦時中に航空機の骨組みに使われたから枯渇して、植林したものが使えるようになって市場に出てきている→採れる数が限られているので高いって図式なんだけど、実は航空機云々より前である1830~1840年前後にも一度枯渇していると見られます。

 

ジョン・万次郎がアメリカ漂流から帰国までの出来事に関する口述を書き留めた「漂巽紀略」という古書の中で、ニューヨーク州周辺の山地の木材を燃料用にほぼ採り尽くした旨の記述が出てきてることから、一度そこで伐採し尽くされ、目の詰まった木材は材木屋がストックしていた分くらいしか残らなかったと見ていいかなと考えます。

会社創成期~戦前のMartinなどは恐らくその時に材木屋がストックしていたアディロンダックを使用していたから木目が詰まったものを使用できたのではとも予想。

その後植林されたものが戦時中に航空機の骨組みに使われ再度枯渇し、再度植林されたものが現在使われるようになってきた、という流れがあるわけで。

 

そう考えると、現行出回っているアディロンダック材は随分「若い木」が多いのかなあ。

木目が広い=成長が早かったためと考えると……そうなると密度としてはゆっくり成長して木目の詰まったシトカやジャーマンなどの他の木材のほうが、個人的には何となく良いのではないかと考えてしまうのですよ。素人意見で恐縮ですが。

 

勿論、現行出ているアディロンダックが全て悪いというわけではなく、ルシアーの腕や技術によって素晴らしい仕上がりになっているものが多いです。

ただ、「神木」だとか崇め奉る人が出ていると、何だか辟易するのも事実。

個人的な音の好みが違うからか、「アディロンダックは神木」だと毛ほども思えないのです。

 

トリファイド加工されたアディロンダックは素晴らしい音が出る!って文句も色々聴きましたが、ひねくれ者の自分は逆説的に「トリファイド加工しなきゃこのクオリティにならなかったんじゃなかろうか」とか、変な邪推もしてしまう。

 

……あ、トリファイド加工自体の否定はしないですよ?

技術革新の賜物、これからもより良いモノを造るためなら新技術はあって然るべき。

 

結論。

自分で良材だと認識できないうちは、アディロンダックに関しては試奏することはあっても、買うことはまずないと思います。

 

……ハカランダ選んでるお前も大概「神木」扱いしてるのではって?

大変ごもっとも!としか言いようがないです!

でもハカランダは試奏に試奏を重ねた上で、主観的にも客観的にも複数人挟んで考慮を重ねてチョイスしたので許してとしか言えない。まぁ、許す許さないどっちにしても選ぶんだけど()

 

アディロンダックも勿論同様、試奏に試奏を重ねた上で色々感じた次第です。

 

長ったらしく書きましたが、そんな個人的雑感でした。批判などは甘んじて受けます。

ここまで駄文をお読み頂けた方、お疲れ様です&ありがとうございました。